会長挨拶

山川 隆

 このたび一般社団法人日本植物細胞分子生物学会の会長をつとめることになりました山川からご挨拶申し上げます。

 本学会の網羅する範囲は、植物の分子生物学、生理学など理学から農学、薬学、工学、そしてこれらを応用して社会で実用化してゆく技術開発まで幅広く、本学会は多方面の分野における研究者の協力と研究情報の交流を図ることを目的としています。これまで学会創立30周年を迎えた江面会長の時期に若い会員を中心に学会の進むべき道が検討され、ロードマップが作成されて参りました。特に一昨年には本学会が法人化され、会員のみならず、社会に対する責任も明確となってまいりました。ゲノム編集をはじめ、植物の新育種技術(NPBT : New Plant Breeding Techniques)がますます発展してきている現在、本学会の立場は植物の基礎から応用、実用化まで、植物のバイオテクノロジーを幅広く網羅し、研究者、技術者の交流を援助して、学術レベルの向上、技術開発とその実用化を図ってゆくということが明確になってきています。これは他の植物系の学会とは異なる独自の立場であることから、その特徴を積極的に押し出して行くことが大切であると考えます。

 新理事会では吉田薫幹事長、光田展隆会計幹事、青木考編集委員長をはじめ、新幹事の理事と、前執行部から引継いだ国際化、広報、キャリア支援・男女共同参画、産学官連携などの委員会が大きくメンバーを交代して新たな体制で2年間を勤めて参ります。特に学会員の利益を大切に考えますと、学会員が恩恵を受けるのは大会発表と学会誌への論文掲載です。さまざまな情報がインターネットで容易に入手出来るようになった現在でも、学会大会とPlant Biotechnology誌は重要であり、財政が逼迫している中では学会誌の電子化出版等も検討し、工夫して充実化を図って行く予定です。大会と学会誌は研究の発表の機会であります。学会誌の英文化が進み、歴代執行部の努力でインパクトファクターがつくようになり、さらにPubMedへの登録も間近となって、現在ではPlant Biotechnology誌に世界各国から投稿が見られるようになりました。学会員の皆様からは、なおいっそうの投稿をお待ちしています。これに続いて学会大会は国際化を図るため、今年度につづき今後も英語セッションを設けて、留学生やアジア近隣の国々からも発表ができるようにいたします。これにより、参加者が海外の研究者とも交流する機会が増えると考えます。なお、これまで学会の流動資産が年々減少してきており、すでに対策の猶予が出来ない状態にあります。経費節減を更に進め、大会の規模を適正にして学会員の恩恵と負担を考えて学会費の改訂を含め、財政再建を進めて行きます。そしてこれまでに続いて学会活動の社会への発信、男女協同参画を図って行きます。そして現在はゲノム編集をはじめとするNPBTの展開が進んでいることから、本学会の分野が大きく発展する機会でもあります。本学会の特徴として、民間会社の会員が多く、多方面の分野の研究者、技術者が会員になっています。この時期に、多くの人に本学会を知ってもらい、さらに本学会に入会してもらうために、大会シンポジウムでは最新、最先端の研究を紹介して、本学会を魅力ある学会であることを発信していきます。そしてここ数年、漸減している会員数を右肩上がりに転じる策もとっていくつもりです。例えば、現在の本学会の活動を広く知ってもらえるように、学会名を活動内容が分かりやすい名称に変更できるかどうかも検討する予定です。

 今回の任期は2020年の代議員総会までの2年間で、ここに書きましたのは、今期に行なう予定のほんの一部です。以下に記しました執行部、各種委員会の皆様とともにこの困難な時期の学会を運営して行く所存でおります。新理事、各委員会の委員の皆様には本学会への多大なるご尽力をお願いするとともに、会員の皆様からは、学会、執行部へのご助言、ご提案をお待ちしております。