Plant Biotechnology Vol.26 No.3(日本語要約)
Vol.26 No.3
K. Y. Sakakibara (2009) Functional genomics of natural product glycosyltransferases in Arabidopsis. Plant Biotechnology 26: 267-274
配糖化は、天然物の安定化、水溶性の促進、解毒に関与すると同時に、植物二次代謝産物の多様性に寄与する重要な反応である。本レビューでは、機能ゲノミクス学的手法を駆使したシロイヌナズナのfamily 1 glycosyltransferaseの機能同定について最近の進展を述べる。
T. Nakagawa et al. (2009) Gateway vectors for plant transformation. Plant Biotechnology 26: 275-284
植物への遺伝子導入においてGateway法の利用が盛んになってきてい本総説では、我々が開発してきた初期型Gateway binary vector (pGWB)、改良型pGWB (ImpGWB)、プロモーター交換用R4pGWBの作製法、構造、特徴について解説した。
A Noguchi et al. (2009) Identification of an inducible glucosyltransferase from Phytolacca americana L. cells that are capable of glucosylating capsaicin. Plant Biotechnology 26: 285-292
ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana L.)の培養細胞は,カプサイシ ンを辛味をもたないグルコシル化カプサイシンに変換する能力をもつ。同培養細胞からカプサイシンをグルコシル化しうるグルコシルトランスフェラーゼのcDNA(PaGT3)を同定・単離し、同酵素の機能解析を行なった。同酵素は幅広いグルコシル基受容体特異性を示し、培地へのカプサイシン添加により培養細胞中に誘導されることが分かった。
N. Hariganeya et al. (2009) SET domain-containing protein genes are involved in Arabidopsis thaliana embryogenesis. Plant Biotechnology 26: 293-300
ヒストンのメチル化は植物の分化制御に重要な役割を果たす事が知られている。ヒストンメチル化レベルの解析をシロイヌナズナLEAFY COTYLEDON1遺伝子のプロモーター領域に行ったところ、ロゼット葉に比べて不定胚でH3K4のメチル化レベルが高い事を明らかにした。また、シロイヌナズナゲノム中に37あるSET遺伝子のうち、7遺伝子が胚発生に関与している可能性を見いだした。
T Godo et al. (2009) Interspecific hybridization between triploid Senno (Lychnis senno Siebold et Zucc., Caryophyllaceae) and allied taxa of the genus Lychnis. Plant Biotechnology 26: 301-305
三倍体センノウと近縁種との間で交配を行い、未熟種子培養を行なった。その結果、三倍体センノウ×オグラセンノウおよびオグラセンノウ×三倍体センノウ、三倍体センノウ×マツモトセンノウの組合せで種間雑種が得られた。得られた雑種のほとんどは奇形または葉緑素欠損であったが、三倍体センノウ×マツモトセンノウで得られた一個体は緑色個体であった。
Y. Okudera et al. (2009) Production of agarwood fragrant constituents in Aquilaria calli and cell suspension cultures. Plant Biotechnology 26: 307-315
沈香はAquilaria属植物に蓄積した樹脂を含む材であるが、その樹脂生成機構には不明な点が多い。本研究は Aquilaria 属植物から誘導したカルスと液内培養細胞を用いて樹脂構成成分であるセスキテルペン類とクロモン誘導体の生成現象について検討し、これらの化合物の生成機構が異なることを明らかにした。
N.M.P.S.Htwe et al. (2009) Nutrient starvation differentially regulates GmATG8i in soybean seedlings. Plant Biotechnology 26: 317-326
ダイズにおける自食作用(オートファジー)を調べるために、飢餓処理に応答したダイズ芽生えのオートファジー関連遺伝子(ATG)の発現解析を行なった。飢餓処理によりGmATG8iおよびGmATG4の発現が顕著に上昇し、一方GmATG8iタンパク質は減少することが抗GmATG8i抗体によるイムノブロットにより示された。飢餓状態にあるダイズ芽生えに液胞プロテアーゼ阻害剤処理を行なった場合にはGmATG8iのタンパク質およびmRNAはいずれも増加した。以上から、GmATG8iの遺伝子発現は栄養飢餓および液胞のタンパク質分解を介したアミノ酸リサイクルにより調節を受けることが示唆された。
S. Oshima et al. (2009) Isolation and characterization of a TERMINAL FLOWER 1 homolog, RsTFL1, from radish (Raphanus sativus). Plant Biotechnology 26: 327-331
アラビドプシスの花序決定遺伝子であるTERMINAL FLOWER1 (TFL1)のホモログをダイコンからクロ-ニングし、RsTFL1とした。RsTFL1は花成にともなって成長点での発現が消失した。また、TFL1とは異なり、成長点の内層のみでなく外層でもその発現が認められた。
P. Baskaran et al. (2009) In vitro regeneration of Psoralea corylifolia L. through callus cultures. Plant Biotechnology 26: 333-336
In vitro regeneration protocol was developed from hypocotyl-derived callus of Psoralea corylifolia L. Shoot regeneration was achieved from green compact nodular calli from 3 day-old hypocotyl explants. Regenerated shoots elongated and hardened in moistened soil mixture and vermiculate (3:1 v/v). The plants were established in the field and higher survival percentage was achieved in winter season. This system would be useful for mass propagation and germplasm conservation of P. corylifolia.
S. Suzuki et al. (2009) High-throughput determination of thioglycolic acid lignin from rice. Plant Biotechnology 26: 337-340
本論文では、稲わらのリグニンをチオグリコール酸リグニンとして定量する簡便かつハイスループットな方法について報告する。本方法では、3日間で約100検体の稲わらサンプルのリグニン含量を定量することが可能である。
K. Midorikawa et al. (2009) A selection system for transgenic Arabidopsis thaliana using potassium thiocyanate as the selective agent and AtHOL1 as the selective marker. Plant Biotechnology 26: 341-344
シロイヌナズナのAtHOL1タンパク質は生育阻害活性を持つチオシアン酸イオンをメチル化し解毒する活性を持つ。本研究では、AtHOL1遺伝子を選抜マーカーとして用い、遺伝子組換えシロイヌナズナの選抜方法を確立した。
Y. Narusaka et al. (2009) High-throughput screening for plant defense activators using a Β-glucuronidase-reporter gene assay in Arabidopsis thaliana. Plant Biotechnology 26: 345-349
防御応答遺伝子PR-1PDF1.2を用いて、GUS染色法によりプラントアクティベーターを選抜するための方法論を開発した。200化合物を評価した結果、4種の候補を得た。そのうちアビエチン酸はその処理により強くPR-1遺伝子の発現を誘導し、かつ、病原糸状菌である炭疽病菌の感染を阻害した。