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新雑誌に寄せる望みとお願い

「アグリバイオ」編集委員長
別府 輝彦 東京大学名誉教授

 「アグリバイオ」創刊の元となる相談を北隆館の福田久子社長から受けたのは、今から3年前の2013年ごろだったと記憶している。同社かが刊行している「BIO Clinica」の前身「バイオメディカ」の創刊当時の編集委員を勤めた 古いお付き合いの故であった。

 北隆館といえば、我が国の図鑑の原点として名高い牧野富太郎博士の「植物図鑑」をはじめ、「日本動物図鑑」、「日本昆虫図鑑」などの出版社としての伝統に加えて、先述の医学関連誌や「細胞」、「昆虫と自然」などの個性ある雑誌を刊行していることは知っていたが、その北隆館がアグリビジネスに焦点を当てる新雑誌を創刊したいと言われたときには、正直に言って驚いた。しかし福田社長の意を伺う中に、新しい農業を巡る動きを学術・産業から社会経済までカバーした情報発信のための雑誌を考えていると聞かされて、我が意を得たような気になって思い付くことを申し述べたのであった。それから月日が経って今年の春、再び福田社長から、「新雑誌の編集委員長に、ぜひ」と、思ってもいない言葉を聞く事になった。3年前に最初の話を伺ってからの短い間にも、わが国の農業を巡る社会の関心は明らかに高まっているのに、農業とその幅広い関連産業分野における開発・応用研究からそのビジネス的評価までを多面的に捉えた雑誌は皆無といってよい。とうとう私は福田社長に同意し、改めて「アグリバイオ」の名の下に立ち上げられた編集委員会において以下の責務に取り組むために、編集委員長の職を受ける事にした。

 「象から大腸菌まで」生物の遺伝暗号が共通だという原理を突破口に、生物の種ごとに分かれていた蛸壺生物学の障壁が取り払われて以来、農業の全ての分野に関わるバイオテクノロジーの研究開発は一段と加速している。 一方で農業生産が関わる対象は食糧問題に止まらず、食品・素材・創薬をはじめとする多様な産業活動から地球規模の環境保全にまで及び、その範囲は文字通りグローバル化している。国家を支える基盤でもあるアグリバイオ産業の発展に今大きな期待が寄せられており、日進月歩の研究・開発の状況とその産業的、社会的な影響 を、研究者、技術者が先に立って広く一般にお伝えし、また相互交流に努めることが求められていると心得る。このような判断の上に、具体的には編集委員全員の討論を通して、農林、畜産、水産から食品、環境資源、農業経済にわたる幅広い分野から課題を抽出し、編集部と協力しながら、それぞれに携わる気鋭の著者による紹介論文、 談話、関連情報の記事などを集めて刊行を進めて行きたいと考えている。

 福田社長並びに北隆館編集部の新雑誌に賭ける熱意を受けて、大胆にも大海原に乗り出そうとしているこの新雑誌「アグリバイオ」の船出を目前にして、その航海の成功を強く望み、ご支援を切にお願いしてご挨拶に代えさせて頂きたい。(2016年9月記)

「アグリバイオ」編集委員会

別府 輝彦
(委員長)東京大学名誉教授
阿部 啓子
東京大学名誉教授・(公財)神奈川科学技術アカデミー 未病改善食 品評価法開発プロジェクト
古在 豊樹
植物工場研究会(NPO)理事長
佐藤 和広
岡山大学資源植物科学研究所 大麦・野生植物資源研究センターゲノム多様性グループ
篠崎 一雄
国立研究開発法人理化学研究所 環境資源科学研究センター長
中嶋 康博
東京大学大学院農学生命科学研究科 農業・資源経済学専攻 独立行政法人
林 良博
国立科学博物館 館長